結納とは、日本古来より伝わる婚約の儀式です。
婚約は口約束でも成り立つものですが、結納は、結婚を約束したお二人が、
その意志を確かな約束として「形」にし、両家の間で取り交わすものです。
結納から結婚式に向けた本格的な準備が始まっていきますから、
ご本人達にとっても「いよいよ本当に結婚するのだ」と実感される、
ひとつの大きな節目ではないでしょうか。
結納は、もともと「ユイモノ」といい、ご両家が新たに姻戚としての関係を結ぶ
祝宴のごちそうをさしていたそうです。
そのごちそうに、結婚に際しての新婦の衣装、金品などが加えられるようになり、
それら全部をまとめて結納とよぶようになったと言われています。
「結ばれる事をお祝いし、贈り物を納めあう儀式」と考えればよいでしょう。
(※マメ知識欄 参照)
9月から11月は婚礼シーズン。結納の機会も多くなります。
秋に先駆けて、結納品を包む昔ながらの伝統包みをご紹介しましょう。
『平(ひら)包み』 |
長い風呂敷文化の中で受け継がれてきた伝統的な包み方です。
この包み方は簡単ですが、格式の高い包み方といわれ、結納のお席では結納品を
この平包みでお持ちします。持ち歩く時は、左手で下から持って、右手を添えます。
1:手前の角を箱にかぶせます
2:左の角を箱にかぶせるその時箱の門をきれいに始末します
3:奥の角をふたつの辺をつまんで手前にもっていくときれいです(其のニお使い結び参照)
4:あまった角は折り込みましょう
『花びら結び』 |
華やかに包みたい時には「花びら結び」をお勧めします。
俵型や正方形近い箱に適しています。
結納返しとして時計などをお渡しする時に適した、洒落た包み方です
1:真ん中においたお弁当の上に左右の角を一回結びます
2:90度回転させたら残りの角も最初の結び目の上に一回結びます
3:もう一度90度回転させて最初に結んだ角をもう一度結び目の上で結びます
4:後一回90度回転して先ほど二回目に一度結びした角を結べば出来上がり
5:角を開くようにすると花びらのようになりキュートな印象になります
マメ知識 |
結納とは
婚約成立のあかしとして男方から女方へ金品を渡すこと。また、女方から返礼すること。その際の儀式や金品をもいう。
結納の由来
江戸時代の有職故実家(※)・伊勢貞丈(ゆうそくこじつか いせさだたけ)は、
「結納」を『言い入れ(申し入れ)が転じて「ゆひいれ」となり、
漢字を当てはめて結い入れとなり、結納となった』と伝えている。
また、民俗学者・柳田邦夫によれば『結納とはユイノモノ、すなわち家と家との
姻戚関係を新しく結ぶために、共同で飲食する酒と肴とを意味する語で、
聟(むこ)がこれを携えて聟入するのが本式であった』と言う。
結納の日に聟が仲人、あるいは両親などを伴い、嫁方を訪問する慣わしは
各地で報告されており、この日に酒をくみかわすことにより婚約が成立したことになる。
これを口固め(くちがため)、樽入れ(たるいれ)等と称している。
※ 有職故実家:宮中にまつわる伝統的な行事・儀式などに関する知識に詳しい人
出典:三省堂大辞林
日本民族大辞典 下巻 (吉川弘文館)