「風呂敷包みのいろは」最終回は、風呂敷の大きさや素材、特徴をお伝え致します。
一口に「風呂敷」といっても、多種多様なものがあります。
まずは大きさをみて参りましょう。
風呂敷の大きさは、おおよそ11種類に分けられます。
着物の反物の幅が34cmを単位にしていたことから、今でもニ幅・三幅と呼ばれています。 一見、正方形に見えますが、縦の長さ(丈)が横幅(幅)より少し長くなっています。
サイズ |
中幅(ちゅうはば) | ・・・45cm | 三幅(みはば) | ・・・105cm | |
一三幅(いちさんはば) | ・・・50cm | 三五幅(さんごはば) | ・・・120cm | |
ニ幅(ふたはば) | ・・・68cm | 四幅(よはば) | ・・・128cm | |
二尺幅(にしゃくはば) | ・・・75cm | 五幅(いつはば) | ・・・180cm | |
二四幅(にしはば) | ・・・90cm | 六幅(むはば) | ・・・208cm | |
七幅(ななはば) | ・・・238cm |
次に素材です。
時代と共に、風呂敷の素材も多くのバリエーションが出てきました。
素材違いの物を数枚持っていると、用途にあわせて使う事が出来て便利ですよ。
主な素材 |
●正絹
しぼの入ったちりめんや、婚礼で使う白山紬(はくさんつむぎ)など上品な光沢がある。
結納や婚礼道具として誂えたり、お中元・お歳暮を持参するなど、
正式な儀礼やあらたまった時に使用する。叙勲受章の記念品や引き出物の品にも使われる。
・ちりめん | 表面にシボがありしなやかな風合い高価 |
・つむぎ | 紬糸で織り上げたもの 張りのある生地と表面の節が特徴 |
・綸子(りんず) | なめらかな光沢のある地 |
・絽(ろ) | 薄物に代表される生地 |
●化学繊維
絹に比べて値段が手頃で、素材や織り方により手触りや質感に違いがある。
また、しわや水に強いなどの特性を持つものもある。
・ポリエステル | 安価で扱いやすく水に強い |
・レーヨン | 光沢風合いが絹に近い |
・アセテート | 木材パルプ肌触りが良い |
●木綿
一番使い勝手が良い。柄によってフォーマルにもカジュアルにも使われ、丈夫で洗濯も可能。
風呂敷はただの四角い布。それだけに色や柄により様々なイメージに変化します。
柄 |
風呂敷に描かれた柄には深い意味を持つものがあり、代表的なものには「吉祥文様」があります。
縁起の良い文様が描かれており、この風呂敷に贈り物を包むことで敬意が伝わります。
古典柄以外にも、無地やモダンな柄などデザイン豊富で、みているだけでも飽きません。
昔ながらの柄は、包んだり結んだりした時に、どこにどのような柄が浮き上がるかを
考えた構図にもなっています。
広げた時だけでなく、実際に使用する時の形を考えて選ぶと良いと思います。
風呂敷に慣れてきたら、既成品だけなくオーダーメイドで自分好みのものを誂えてみるのも
楽しいものです。
儀礼用に家紋や名入れの風呂敷を誂えた経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、
生地や色柄を選んでオリジナルの1枚をお持ちになるのは、
ブランドバッグを持つ以上にぜいたくなお洒落だと思いますよ。
由来 |
最後に、物を包む布が、なぜ「風呂敷」というのか、その由来をみてみましょう。
風呂敷の起源は奈良時代にまで遡ると言われています。
正倉院には、「伽楼羅(かるら)包(本来は果冠に下が衣)」、
「師子児(ししじ)包(同じく元の字は果冠に衣)」という呼称で舞楽の衣装包みが残されています。
平安時代には「平裹」・「平包」(ひらつつみ)と呼ばれ、庶民が衣類を包んで
頭にのせて運搬するのに使用されていました。
では、衣服を包んでいた布がなぜ「風呂」と「敷く」を合わせた呼称になったのでしょうか。
この時代、入浴は心身を清める厳粛な行事で、白衣を着用するという作法があったそうです。
広げた布の上で服を更衣し、濡れてしまった白衣はその布に包んで持ち帰ったことから
「包み運ぶ役割を備えた風呂の敷布=風呂敷」と呼んだのが起源と言われているようです。
また、室町時代のお風呂は蒸し風呂のような形式だったため、
「むしろ」「すのこ」「布」などを床に敷いて入ったのが起源という説もあります。
(参考資料:Wikipedia)
前回、温泉に出かけた時の風呂敷包みをご紹介しましたが、オシャレなだけでなく、
とても由緒正しい風呂敷の使い方と言えますね。
風呂敷に着替えをさっと包んで持ち歩く姿はそれだけでステキですが、
こうした豆知識も覚えておくと、さらにイイオンナ度がアップすると思いますよ。
さて、約半年にわたり「風呂敷包みのいろは」を連載させていただき
誠にありがとうございました。
短い期間でしたが、少しでも風呂敷に興味を持って下さったら幸せです。
まだまだ可能性のある風呂敷。
様々な使い方を覚えて、もっともっと風呂敷を楽しんで下さいね。