クリスタルヒューマントレーニング/日比野素子さん
Q:クリスタル・ヒューマントレーニングとは新しい名前ですね。これはオリジナル・メソッドですか?
はい、そうです。クリスタルはアクセサリ−に使ったりしますが、それは、元々クリスタルが持つパワーを身につけるということから始まっているのです。
また、クリスタルは心身のバランスを整えると言われています。そのクリスタルを応用して行うメンタル・トレーニングです。
クリスタルと言っても、占い師が使うような水晶を使うわけではありません。(笑)水晶をはじめとした鉱物を使用します。
博物学者リンネは、自然界を動物、植物、鉱物の三界であるとしました。当時、博物学では、動物でもなく植物でもないもの、つまり、自然界の無機物は全て鉱物として扱われました。ですので、鉱物の分類が確立された今でも「鉱物とは自然界にある無生物」という意味が残っています。鉱物学の文献等では、『天然に産出する無機質で一定の化学組成と結晶構造を有する固体物質』のことを鉱物と定義しています。鉱物の説明はとても長くなるので省きますね。(笑)
鉱物は様々な性質を持っていますし、私たちの生活にも資源として色々な形で利用されているのはご存知の通りです。しかし、このような研究成果など知らない昔から、人々は鉱物の持つ力を感じ、祈りや祈祷に使ってきました。科学的な根拠をあげつらうよりも、私はこの感覚が大切だと思っています。ですから、メンタルな部分にアクセスする時、とても効果的だと考えています。
私は『大地の贈り物』『地球からの贈り物』を使わせて頂いている、と考えています。
Q:方法論を教えて下さい。
日本人は、人との健全な距離感を保つのがどうも苦手な方が多いようです。無意識に人に合わせて生きている人がとても多いと思います。『人にあわせて生きるのが美徳』とされている感もありますが、ここでは、美徳である思いやりや親切と、お節介や自己犠牲の境界線をしっかり認識し直し、自分自身の言葉や考え方で『自分主体の生き方』に変わって行く、『自分主体の考え方の癖をつける』ことを助けるトレーニングを行います。
そのためには、まず『自分は本当にこれをしたいと思っているのか。』と自問することから始めます。本人は自分の意見だと思っていても、回りの人やマスコミなど、人の意見の受け売りの場合も多々あります。意識的あるいは無意識に、回りの評価や反応を気にするあまり、『状況において最適』と思えることを言う癖がある人もいますね。
自分をもう一度見つめ直すことで、『これは自分の考えだと思っていたが、本当にそうなのか』と、各自に確認していただきたいのです。
Q:『自分主体の考え方』と言うと、社会性のない、いわゆるジコチューで良いと考える人もいるのではないでしょうか。
私の言う『自分中心』とは、義理とか他人の思惑にはとらわれなない、人にあわせた生き方ではない、という意味です。
自己否定感が強く、自己肯定感を殆ど持てず、ただ回りの人に合わせて生きている人がたくさんいます。さらに問題なのは、多くの人達が、この事実にさえ気づいておらず、この状態が『あたり前』と感じて生活していることです。常に人に合わせていることで、理由はわからないが常にイライラするとか、断れないために物事を抱え込み過ぎる人達がいます。それが、『自己主体的』生き方でない人達で、明らかに『自己中心的な人達』とは違います。自分主体的な人は、自分の意見や希望をはっきり伝えられる人です。
ただ、そうは言っても、なかなか始めから思うようには出来ません。
そこで、クリスタルを身体に乗せてもらうことを思い付きました。
クリスタルをツールとしてアプローチに使い、クリスタルが持つ『ヒーリング効果』を感じながら、自分の感覚を確かめ、取り戻すための訓練を行う。そうすると、より深いメンタル部分に入り易くなる事に気がついたのです。
Q:クラスで使用する石は決まっているのですか?
クラスには数種類のクリスタルが準備されています。参加者は各自、自分がひかれた石を選んでいただきます。色が好きな場合もあるし、形が気に入った場合もある。また特にこれと言う理由もなく、『なんとなく選んだ』という場合もあります。
クリスタルにはそれぞれ、一応意味があるのですが、私が大切にしているのは、その人がそのクリスタルを見て、手にとってどのように感じたか、です。だからその日、その場所で、自分で選んだクリスタルが、その日はその人にぴったりな石なのです。
Q:なるほど!私たちには『アメジストは心を静める』とか『ローズクォーツは恋愛運や愛情運をアップさせる』といった情報のほうがインプットされていますが、その石を見て感じたことのほうが大切だということですか?
そうです。
クリスタルの本を読むと、『このクリスタルは愛情運をもたらす』とか書いてあったりします。しかしそれは『一般に言われている効果』に基づいて石を選ぶことになります。私は、その方の感覚、直感を大切にしたいと考えています。参加したみなさんが、自分の選んだ石を手にして感じた事こそが、その時の『その石の意味』であり、また、それは変化していくものでもあるのです。
一般に言われているクリスタルに関する情報に捕われずに、その時の感覚を大切にする。そこが導入となって、それぞれの本来の考え方、感じ方に徐々に目覚めていくのです。
Q:『自分の考え方』のような大きなテーマは、なかなか難しいものだと思います。
簡単に考えて下さい。例えば、最初に石を胸の上にのせてみたがどうも落ち着かず、お腹の上に置くと落ち着いた、という方がいるとします。では、『なぜ胸では落ち着かず、お腹だと落ち着くように感じたのか?』を考えて頂きます。『ぴったりする』場所に至る気持ちの変化を、自分で意識してもらいます。感じ方は人それぞれです。どこに置かなければならない、どのように感じなければならないということはない。そのことに気づいてもらうためのステップです。自分が『ぴったり!』と感じた使い方、置き場所が見つかれば、それでいいのです。
こういう小さな作業から入って自分の内面を見つめ直した時、ふっと『疑問に思う』ことが出てきます。自分はこれまでなにかを決めたり、感じたりするときに、本当に自分が主体となっていたのだろうか?と。この疑問を感じはじめることがまず、とても大切です。
次のステップは、考え方の『癖』や『パターン』を見つめていく作業になります。
まず、それぞれの家庭に共通する考え方の『癖』や、家族の中での自分の『役割』などの『条件付け』について説明します。この説明に基づき、『自分にあてはまるパターン』『家族の中で果していた役割』などを考え、書き出して頂きます。
癖を分析するのではなく、あくまでも『自分にはこんな考え方のパターンがある』ということを、参加者自らが気づいていけば良いのです。また、『考え方にパターンがある』からと言って責めることはありませんし、参加者が自分を責める必要も全くありません。これはあくまでも、より自分本来の感じ方や考え方に気づき、その人本来の『輝き』を取り戻すためのステップに過ぎないからです。過剰に深刻になる方向には持っていきません
こうした認識ができたところで、初めて、『役割からくる規制』、そこから来る『考え方の癖』を、参加者自らに取り外してもらうトレーニングに入ります。
ここでは参加者が2人一組になり、自分が必要としている事を相手に言ってもらう形式で行います。例えば、『貴女は家庭のなかでXXの役割を果たして来たので、XXXのように考える癖がある。しかしそれは不必要なものだ』と。本人に言ってもらうのでは、どうしても違和感がありますからね。
さらに、日常生活の中で自分が抱えている違和感に意識して向き合う作業を行います。
それぞれの参加者が抱えている問題を、全てクラスの中で解決するのではありません。
トレーニングはあくまでもそれぞれの参加者が解決法を見いだすための『きっかけ』です。『私にはこのような考え方の癖があったんだ!』と気づいてもらう、一つのヒントです。
ですから、トレーニングを行った結果、参加者がある事実に目覚め、大きく変わるというよりは、ワークショップに参加しようと思った時点で、すでに参加者は本来の自分に近付くための作業に入っている、ということです。私の役目は、ただそれをサポートするだけです。
ここでトレーニングの流れを整理してみよう
※これはトレーニングの一例です。
Q:初めてで、どこまで到達できますか?
そうですねぇ・・・。
自分の考え方のパターンとその要因を書き出す作業で、何も書けない人はいません。『私にはこういうパターンがある』と誰もが書いてくれます。つまり、この段階で参加者はそのことにすでに気づいた、ということです。
新しい『視点』を得たことで、自分のこれまでの考え方、感じ方を見直し、変えていくと言う作業は、それぞれが自分の時間の中で行う作業になります。では、すぐに日常生活で生かせるか、という問題になると、そこには個人差があります。
ただ自らの『考え方のパターン』を自覚できるようになったことで、『あっ、私はまたやっている』と、生活のなかでも気づけるようになるのです。
心の癖は一日では直りません。日々の訓練が必要です。そして『またやっちゃった』と気づけることが、最初の一歩なのです。
Q:参加する度に、同じ参加者が別のことを書き出す場合もあるのですか?
書く内容が変わるというよりも、1度目のワークでは1つしか書けなかったけれど、回を重ねるごとに、書き出すことが多くなったということはあります。どうしても書き出しやすいものと、そうでないものがありますからね。しかし、何も出て来ないという人はまだいませんね。
Q:初めての会う他人の前で自分の内面を話す事は難しいのではないでしょうか。
最初はちょっと躊躇する人もいますが、それは、その人がどのくらい他人の目を気にしているかということの裏返しでもあります。確かに、『人前で自分の内面を話すのがちょっと苦手だ』という人はいます。だから話してもらうのではなく、書き出してもらうという手法を取っているのです。人前で話すのは苦手でも、書いてみるという作業であれば、それほど抵抗がなくできるのではないかと考えています。
クラスの目的は、『今の自分よりも、もっと良くなる』ということです。無理矢理全部、初めての会った他人にさらけだせ!と言っているわけではありません。(笑)
2人で読みあう時に『どうしてもここは人に読まれたくない』という部分があれば、相手に見せる必要はありません。そこは自分のためにだけ書き出しておいて、見せても問題ないことだけを渡せばいいのです。
回を重ねると、人に読まれても問題ない部分が増えてきます。心も少しずつ開いて来ます。そして、周囲の話を聞く事で、自分ではとても大きな問題だと思って口に出せなかった事が小さく思えて、話せる様になったりもします。
Q:臨床心理カウンセラーの資格もお持ちですが、カウンセリングとの違いは何ですか。
カウンセリングは一対一で行います。しかしこのトレーニングは複数の参加者によるグループワークの形をとります。ですから、参加者は『人の話を聞く』ということが、重要なポイントになります。
Q:自分のアウトプットだけでなく、どれだけ他の参加者の意見を受け取れるかも大事なポイントなのですね。
同じような事が書いてある場合には『ある、ある』と共通意識が持てるし、自分ではどのように言えばいいのかわからなかった『もやもや』を、相手が適確に言葉にしていた場合には、その言葉を通して自分が抱えていた問題に気づくこともあります。
Q:クラスの内容は参加者によって変わりますか?
そうですね、変わりますね。
参加者が変わるということは、それだけ新しい意見を聞くチャンスがあるということです。
Q:トレーニングにはどのような人達が参加しているのですか?
様々です。こうしたワークショップに慣れている人のなかには、『本当に自分がやりたいことを探したい』という明確な目的意識を持った人もいます。
一方、参加時には『自分が困っている』ということに気がついていない人もいます。『何となくスッキリしないから』とか、『なんとなく気になったから来た』という方達もいます。そして回を重ねていくうちに、『今のままでいいと思っていたけれど、本当は今の自分に全然満足していなかった』と気づく方もいらっしゃいます。
本来の自分について、はっきりと認識している人は少ないと思いますが、なんの疑問もなく、現在の自分でOKと思っている人も少ないと思います。『なにか違う』とか、なんらかの喪失感、飢餓感を感じている人は多いのではないでしょうか。
私には『本来の自分を探している人達』が、自然に集まってきているように感じられます。
Q:このトレーニングは、どんな人に最も効果があると考えていますか?
一応普通に日常生活を送っているけれど、なんとなく不満足という人には、是非一度受けて頂きたいと考えています。ストレスや悩みが、身体的症状に現れはじめる前段階の方、と言ったらよいでしょうか。
特に、『なんだかいつも自分は人に合わせて暮している』と感じている人達、すでにそうした自覚がある人や、そのもう少し手前の人に効果があると思います。
Q:心身にストレスはあるけれども、病名がつくほどの症状が出る前に受けるのがいいのですね?
専門医によって診断がつくほどの症状になり、処方薬をもらって生活している人の場合には、そうした患者のための集まりに参加することを勧めます。
症状が出てしまった人の場合には、1週間に1回や2回では時間的に足りません。可能なら毎日でも行く方がいい。それも専門の自助グループをすすめる理由のひとつです。
実際、私自身もパニック障害に陥った時があり、現在行っているトレーニング方法は、そこから立ち直るために効果があったと思っています。しかし、できれば、身体に症状があらわれる前の段階で来て欲しいですね。
Q:ご自身もカウンセリングが必要な時期を過ごされたのですか?
OL時代、人間関係に苦しんでいるという自覚はありませんでした。
しかし常に頭痛や息苦さを感じていて体調不良となり、紹介されたのが心療内科でした。そこで初めて、『自分はこれまで常に人からどう見られているかを気にして生きて来た』特に、母親の評価が気になり、『彼女にとってのいい娘を演じていた』ということに気づいたのです。恋愛でも『自分をより必要としてくれる人』ばかりに引かれ、常に相手を気にして、自分を犠牲にしていました。
当時は病名も分からず、処方箋も合わず、漢方薬などを試しても回復する見込みはありませんでした。藁をもすがる思いで受けたのが経絡アロママッサージでした。すると、その日はぐっすりと眠れたのです。薬よりも効果のあった『エネルギー』に、私は興味を持ち始めました。
クリスタルも、最初は半信半疑だったのですよ。でも、掌にのせていると、やがてのせている感覚がなくなり、一体感のようなものを感じて、とてもリラックス出来たのです。
この一連の経験がきっかけとなり、臨床心理カウンセラーの資格を取得しました。更に、幼児期のトラウマを解放するセラピー、コスモセラピー、気の流れを改善するための東洋医学、経絡マッサージ、アーユルベーダーと、本当にあらゆることを学んでいったのです。こうしたボディワークの中で『自分は愛されてもいいんだ』『自分を大切にすることが大事なんだ』と自覚できるようになりました。
そして、同じ思いをしている人達の手助けが出来れば、と考える様になり、自分のように遠回りしないでもっと楽しく出来たら、との思いでオリジナル・メソッドを考案したのです。
Q:このトレーニングにおける目標値はありますか?
最終的には、参加して下さったみなさんに、自分主体で考えることができるようになって欲しいと思っています。自尊心を持ち、本来の自分に少しでも近付いて欲しいと。
人にはそれぞれ個性があります。それをまず認めてあげることが大切だと思います。『無口だ』とか『社交的だ』という、通り一遍のレッテルを貼るのではなく、個性を認めることが大切だと思います。
考え方の『良くない癖』を直し、家庭や社会における『役割意識』から解放されること、そして、みなさんがより本来の自分に近づくことのサポートが、やはり最終的な目標です。
今日はどうもありがとうございました。
●reviveより
人間関係は確かに難しい。特に、会社や組織にはどうにもならない事が多すぎる。
そう言えば、仕事のストレスで赤いプツプツが身体に出てしまう人や、休職する人もいる。
相手は変えられない。でも、自分は変えられる。
自分の視点を変えれば、見える世界が変わるのは何となく分かる。
飲みに行ったりお喋りする時間を、こうしたトレーニングにあてるのは、
なかなか前向きな自己投資かもしれない。
人間関係は確かに難しい。特に、会社や組織にはどうにもならない事が多すぎる。
そう言えば、仕事のストレスで赤いプツプツが身体に出てしまう人や、休職する人もいる。
相手は変えられない。でも、自分は変えられる。
自分の視点を変えれば、見える世界が変わるのは何となく分かる。
飲みに行ったりお喋りする時間を、こうしたトレーニングにあてるのは、
なかなか前向きな自己投資かもしれない。