『クラニオセイクラル・バイオダイナミクス』 ホリスティックヘルスオーガナイザー/緒方裕さん
今回は、医学的・科学的な根拠と繊細な知覚力とを融合した手技療法のご紹介です。専門的な話もあるので、少し長くなりしたが、興味深いお話しが伺えました。
Q:『ホリスティックヘルスオーガナイザー』とは、どのような仕事ですか?
これは私のオリジナルの名称です。
まず、『ホリスティック』の意味ですが、これはギリシャ語の『ホロスー全体』が語源です。英語の『wholeー全体』『holyー神聖な』『healー癒す
『healthー健康』などは、ここから派生した言葉と言われています。 西洋医学では、個々のパーツで人間を見ています。例えば、臓器ごと、部分ごとにとらえて治していく。しかし、全く逆に、人間を丸ごと全体の存在であるという認識でとらえてケアしていくというのが、ホリスティックという考え方です。
次に、『ヘルス』は、一般に健康とか健全さですが、より厳密に定義すると、人間に内在する生得的健全さという意味です。さて、最後の『オーガナイザー』は、一般的には組織者という意味ですが、別の意味もあります。それは「形成体」というもので、脊椎動物の発生初期に接触している他の部域に誘導的影響を与える胚域のことを言います。具体的には中枢神経系の形成に関与しています。
ですから、私のタイトルは、ホリスティックなヘルスを誘導する者、という意味になります。
Q:ということは、緒方さんのお仕事を一言で言うと『全体論的な考え方で健康を誘導して行く』ということですか?
いえ、正確に言うと、私が誘導するのではありません。誘導するモノは、みなさんの中にすでに存在しているのです。それは、受精卵の胚の中に形成体がすでに存在しているように、『ホリスティックなヘルスを誘導して行くモノは、すでにその人自身の中にある』という認識です。
私の役割は、それが上手く機能するようサポートすることなのです。
Q:では、実際に行っている『クラニオセイクラル・バイオダイナミクス』について伺います。日本語にするとどのような意味になりますか?
まず、クラニオセイクラルとは2つの言葉の組み合わせです。クラニオとは『クラニアルボーン 頭蓋骨(とうがいこつ)』ということです。セイクラルというのは『仙骨(せんこつ)』です。つまり、日本語にすると『頭蓋仙骨(とうがいせんこつ)』となりますね。バイオダイナミクスというのは『生体力学』です。人間を機械としてとらえるのではなく『生きて活動する全体』として、ダイナミックなシステムとしてとらえていくことです。その対極にあるのが『メカニカル』という概念ですね。メカニカルとダイナミクス、そう対比される概念です。
つまり、人間というのは、個々のパーツが組み合わさった、単に機械的なものではなく、個々の部分が有機的に統合されて、動的に、時々刻々ダイナミックに移り変わっている。言葉を変えると、人間を統一されたひとつのエネルギーシステムという面でとらえていく、ということです。
■ クラニオセイクラル・バイオダイナミクスの歴史的背景
ここで、クラニオセイクラル・バイオダイナミクスの発展についてお話ししましょう。アメリカには『オステオパシー』という手技による医学体系があります。これは1800年代の中頃、Dr.アンドリュー・テイラー・スティルという医者が創始したひとつの医学体系です。そして、彼の創設した大学に入学してきたのが、ウィリアム・ガーナー・サザーランド、後の『クラニアル・オステオパシー』の創始者です。ある時、彼は人の頭の骨を眺めていて、あるインスピレーションが沸いてきたのだそうです。(鞄から頭蓋骨の模型を取り出す)ここのつなぎ目を縫合といいますが、この部分、何かに似ていると思いませんか?
Q:・・・なんでしょう?
サザーランドには、このつなぎ目が魚のエラのように見えたそうです。エラは魚にとって呼吸するための器官。これが後に人間の「第一次呼吸」という非常に重要なコンセプトにつながっていきます。また、当時の医学では、頭の骨は大人になるとくっついて動かないというのが常識でした。しかし彼は「頭のそれぞれの骨は、お互いに関連しながら動く様にデザインされているのではないか」との思いが捨てきれず、自らの頭を実験台にして検証しようとしたのです。
Q:実験?どのように行ったのですか。
すっぽり頭にかぶる木製のヘルメットを作り、各部所につけたボルトを締めたり緩めたりして、自分自身にどのような変化が表れるかを実験したそうです。結果、体の変調、精神的変調、例えば急に怒りやすくなるということが生じた。それで彼は『頭の骨は可動性を持っている』と確信し、さらに、実際に手で頭を触れて、リズミカルに動いていることを繊細な知覚で感じました。それが、そもそものスタートだったそうです。
Q:今では西洋医学でも検証されていることですか。
はい、検証されています。アメリカのいくつかの大学で検証がなされ、科学的根拠が実証されています。
頭蓋骨の動きに問題がなければ人間は健康です。ところが、どこかの動きが悪くなれば健康に障害が生じる。それは、サザーランドが自らの頭を使った実験で分かったことでした。逆にとらえると、動きが悪いところをみつけ、そこの動きをよくすれば健康は回復するのではないか、と。そこから生まれたのが『クラニアル・オステオパシー』です。このスタートは、どちらかと言うと、バイオメカニカル(生体工学)なアプローチだったのです。こことここの動きを良くすれば、健康的になるというような、ね。
その後、オステオパシー医として実践を行う中で、Dr.サザーランドは、頭蓋骨が動いているのは事実だが『何がそれを動かしているか』という探求を始め、臨床を重ねてたどりついた結論が、『骨自体が動いているのではない。その背後で働いている、なんらかの力があるからこそ動くのだ』ということでした。この力の源泉を、彼は『ブレス オブ ライフ 生命の息吹』と呼びました。
別の言い方をすると、『人間を生かしている生命エネルギー』です。
東洋医学の伝統には『気』という概念があります。これはまさしく人間を生かしているエネルギーなわけです。中国医学では『チィ(気)』と呼ばれ、インドでは『プラーナ』になります。ですから、こうした考え方は、別に目新しいわけでも、何でもないわけですが、とにかく、Dr.サザーランドは『エネルギーが人間を生かしている』と言う風に結論づけたのです。
このように、メカニカルなアプローチの仕方で支障のある部分を治すことから始まり、その後、人間をエネルギーのシステムと捉えて、そのシステムが十分機能するためにはどうしたら良いかという方向にシフトしました。そのコンセプトを発展させたものが、現在の『クラニオセイクラル・バイオダイナミクス』なのです。
Q:かなり医学的根拠に基づいたシステムなのですね。
そうです。『ブレス オブライフ』の概念は、Dr.サザーランドとその後継者たちによる、長い臨床経験によって導き出された概念です。でも、実は、東洋世界では古くから知られていたことですけれどね(笑)。それを、20世紀初頭にアメリカで検証した、と言っても良いかもしれませんね。
■ 中枢神経はパック入り豆腐!
では、『ブレス オブライフ』は、どのような原理、メカニズムで、我々の体のシステムの中で機能しているのか、ということになってきますね。そこで重要な役割をしているのは、『体液』です。我々の体液が『ブレス オブ ライフ』の受け皿になっているのです。特に重要なのは『脳脊髄液』と言われるものです。
Q:脳脊髄液。いよいよ医学的になってきましたね。
そうですね(笑)。
我々の体を見て行くと、てっぺんに頭蓋骨があって、骨盤の中央に仙骨があります。その内側には『脳と脊髄(中枢神経)』があり、それは『脳脊髄膜(髄膜)』という、非常に丈夫な防水性のある膜で保護されています。そして、その膜の内側を満たしているのが『脳脊髄液』です。そこにぽっかりと浮いているのが『中枢神経』のシステムです。まず、骨の部分があり、膜があり、その内側に脳脊髄液が満たされていて、その満たされた液の中に中枢神経(脳と脊髄)がぽっかりと浮かんでいるのです。
パック入りのお豆腐を思い浮かべて下さい。回りのプラスチックが硬膜、水が脳脊髄液、お豆腐が中枢神経。そういうイメージですね。
Q:スーパーのお豆腐売り場が中枢神経に見えてきそうです(笑)
そう、パック入りのお豆腐(笑)。でも、言ってみれば、これがまさにクラニオセイクラルのシステムなのですよ。我々の体の中核には、そういうシステムが存在しているのです。
クラニオセイクラルでは、脳脊髄液が『ブレス オブライフ 生命のエネルギー』を取り込む最初の容器になると言われています。それから全身の体液に分配され、全身の細胞がそのエネルギーで満たされ、チャージされて、それで我々は生かされている、という考えです。その全身の細胞レベルで行われるエネルギーの呼吸を「第一次呼吸」と呼んでいます。
自動車があるとしますね。車体は問題なくガソリンも満タン。でも、これだけでは自動車は動きません。自動車を始動するにはイグニッション、エンジンに点火することが必要です。この時にスパークが起こり、気化したガソリンが爆発するわけですが、このスパークを引き起こすものが『ブレス オブライフ』だと考えて頂くとよいでしょうか。何らかの理由で点火が不十分だと自動車はエンストしてしまいます。そんな時、点火がうまく起きるようにサポートするのが、クラニオセイクラルの1つの目的と言えるかもしれません。
■ ブレス オブ ライフ は内なる生命の指揮者
健康と病気との関係性を捉えた時に考えねばならないのは、『我々の本質は何か』ということです。病気や具合の悪さ、精神的不調は我々の本質ではありません。人間には持って生まれた健全さがある。それのことを「インハレント ヘルス (inherent health) 固有の健全さ」と言います。その生来の健全さをもたらしているものこそ『ブレス オブ ライフ』です。
我々は肺呼吸をしていますが、実はそれだけではなく、もっと根源的なエネルギーレベルの呼吸もしているのです。それが『ブレス オブ ライフの呼吸』です。Dr.サザーランドが「魚のエラみたいだ」と言った話を思い出して下さい。『ブレス オブ ライフ』の呼吸のことを『プライマリーレスパレーション(primary respiration)第1次呼吸』と呼びます。なぜ1次呼吸かと言うと、肺呼吸よりも、もっと根源的なレベルでの呼吸だからです。肺呼吸は生まれてからずっと続きますよね。この1次呼吸は、それよりも前、受精した瞬間から始まり、生きている限り、死ぬまで続く。そしてこの1次呼吸『ブレス オブライフ』が、我々の組織を形作るのにとても重要な役割をしていると言われています。ということは、これは単なるエネルギーではなく、『形成(組織化)する情報を持ったエネルギー』なのです。その情報こそ、まさに『健康の青写真』。つまり、このエネルギーは『究極の健全さ』を運んでいるのです。
体の中には何らかの『インテリジェンス(intelligence) 知性』が存在する。これは疑いようがないですね。
例えば、食べた食物が消化吸収されるときのことを考えてください。医学的なメカニズムも解明されていますが、そんなことを知らなくとも、私たちの体はオートマティックに必要なことをやってくれます。私たちのマインド(mind 思考/判断)は、どのくらいの消化液を、どのタイミングで出して、いつどのように吸収していくか、なんて知らないですよね。つまりマインドの他に何らかの知性が存在するから、私たちは単に食べるという行為をすればいい。『ブレス オブ ライフ』は、その『知性』をもたらしているのです。
人間は、全体としてひとつのシステム、ユニットとして機能している。60兆個もの細胞がひとつの目的のために足並みそろえて活動しているのが、私たちの身体です。オーケストラは、指揮者のもとで一糸乱れぬ演奏をして、素晴らしいハーモニーを奏でます。この指揮者の役目をしているのが『ブレス オブ ライフ』です。オーケストラの不協和音、これが病気です。『ブレス オブライフ』が機能すれば、足並みが揃うわけです。
Q:でも、弦楽器の弦が切れたりしたら、これは別の対処法が必要で、そんな時は外科的手術もあるわけですね?
そうそう、もちろんそうです(笑)
■ 『傾聴』-手で耳を傾けるということ
Q:では、具体的にはどのように行われるのですか。
そこが、言葉では難しい。理解して頂くのは、なかなか難しいと思いますが。
創始者Dr.サザーランドの墓石には『ビー スティル アンド ノウ(Be still and know) 静まりて知るべし』という言葉が刻まれているそうです。これが、この施術方法のアプローチの仕方を一言で表していると思います。
Q:哲学的ですね・・
具合が悪い方や問題を抱えた方がいらっしゃる。表面的に現れている問題を無視するわけではないですが、まず、はじめに『根本的な健全さ』にフォーカスすることがポイントになります。表面か、本質か。症状か、健全さか。何にフォーカスするか、問題はそこなのです。
水を張ったボウルを乱暴にかき回し、表面を波立たせると、底にあるものは見えにくくなりますね。身体がこのボウルだとすれば、その底にある健全さを見出すにはどうしたら良いか。施術者がまず『静まる』ことです。いきなりボウルに手を突っ込んで中の水を引っ掻き回さないことです。これが先ほどの『ビースティル アンド ノウ』の意味です。この状態のことを、『ニュートラルになる』と言います。
量子力学のコンセプトで『観察者効果』というのがありますが、これは「観察者が観察するものに影響を与える」ということです。クラニオセイクラル・バイオダイナミクスのベースには、量子力学のコンセプトがあります。
Q:施術者自身のスタンスが問われるということですね。
はい、そのとおりです。施術者の在り方を『プレゼンス presence』と言います。施術者のプレゼンスが十分に確立し、ニュートラルな状態にならないと相手の方の健全さが見えてこないのです。
Q:実際の施術方法を教えて下さい。
まず、自分のプレゼンスを十分に確立し、ニュートラルになって、次にコンタクトをします。実際には、相手の方の体に触れるか触れないかの軽いタッチで触れていきます。非常にソフトに、十分注意を払って触れて行きますと、相手の方のシステムが静まってくるのが手の感覚を通して感じられます。こうして、忍耐強く、手で耳を傾けるということが最も基本的で重要な方法になります。手を通して『傾聴』していくのです。ですから、一般的な治療の概念とは全く違います。
コンタクトする場所ですが、私は、基本的には肩と足から触れます。全体をホールドしやすいからです。まずは全体から入り、その後、必要があれば別の箇所に移動します。腰痛なら腰、頭痛なら頭というように。
お受けになる方は横になっているだけで結構です。
Q:施術中どんなことが起きてきますか。
いろいろなことが起きます。以前事故にあった部分の痛みや、身体の歪みなど、身体感覚に気づかれる方はとても多いですね。システムが静まり、自分自身に対するセンサーの感度がアップするからです。そうすると、精神的な事柄、過去の記憶や、大切な気づきなどが起こることもあります。なかには気持ちよくなって眠ってしまう方もいらっしゃいますが・・・(笑)
この施術は、やってみるまではその人に何がおこるかわからない。なぜならば、その方の『ブレス オブライフ』におまかせな訳ですから。その時、その方に必要なことが起こってくる。肉体的のみならず、メンタルな部分でも何か気づきが起こってくるのは、そういうことだと思います。人間は身体だけの存在ではないわけです。60兆個の細胞の塊が人間でもあれば、身体と心と意識、これがワンセットになったものが人間とも言えますから。そういったこともふくめて、ホリスティックなアプローチだと思います。
Q:『ブレス オブ ライフ』は全ての人が持っているのですね。
その人が今どんなひどい状況にあっても、その人が1次呼吸をしている限り、つまり生きている限り、『ブレス オブライフ』の健全さは、常にその人とともにあります。ただ、何らかの事情で、その健全さにアクセスできないだけで、ひとたびそこにアクセスすることが出来るようになれば、その人の体は、自らに必要なことをやってくれます。私の役目としては、なかなか自分の健全さにアクセスできない方に対して、アクセスしやすい状況を提供する、そういうことですね。
しかし、ここで現代的な問題があります。工業が発展するにつれ、われわれはさまざまな化学物質を環境に撒き散らしてしまいました。当然それらはわれわれの体内にも取り込まれ、体の中の水が汚染される結果となったのです。長期間薬を服用することも同様です。さまざまなアレルギーの原因とも考えられていますが、これによりわれわれの体が1次呼吸を十分に表現することが難しくなってしまったのです。何回か受けてもなかなか状況が改善しないケースはこのような原因も考えられます。
この方法は、一方では医学・科学の知識に立脚し、もう一方では繊細な知覚に軸足を置いています。しかも、科学や医学の進歩によって、Dr.サザーランドら先駆者達が、自らの手で感じてきたことが次第に裏付けられてきています。ですから、とてもエキサイティングな分野で、人間という存在の本質にアプローチしていけるものだと思っています。
Q:なるほど。しかし、実際の病気を改善するわけではないのですね。
いえ、そんなことはありません。と言うのは、これは自己治癒力とか自己調整能力を高めて行きますから、その結果として、具体的に何かトラブルがある場合でも、それが改善されて行くと言うことは大いにあり得ます。薬を飲んでも手術をしても、最終的には自然治癒力が働くかどうかが問題なのです。実際、創始者であるDr.サザーランドは、長い臨床の中で、他の医者から絶望的な診断を下された患者さんの治癒に成功しています。ですから、実際の問題にも有効であると言えると思います。
Q:では、肉体的な問題として有効性を導きやすいもの、分かり易いものとしては、どのようなことがありますか。
そうですね。自律神経の失調とか、ホルモンのバランスが崩れているといった、自己調整能力が低下しているケース、あるいは、心と体のバランス感のなさを感じている方などにはとてもよいサポートになると思います。西洋医学的な言い方をすると、心身症などが対象になると思います。それから、免疫力が低下している方、ストレスフルな状況下にある方のスローダウン、トラウマのリリース、頭痛・腰痛などの慢性的な問題、病後の回復を速めること、などにも有効です。ただひたすら、相手の方の健全さに耳を傾ける受動的な方法ですから、赤ちゃんから妊婦さん、お年寄りまで、どなたでも安心して受けて頂けます。
実際に、私も何名か学習障害のお子さんを診ましたが、有効でしたね。
そういうお子さんを診ると、一様に頭の形が歪んでいることがあります。お話しを聞くと、早産で保育器に入れられて片側に向けられたままだったとかね。体が歪むと正常な機能が果たせなくなるのです。
『構造』と『機能』という概念は、オステオパシーにおいては大きなポイントです。構造に問題があると機能が果たせなくなる。逆に言うと、ある機能を果たすためにある構造がある。相互に深い関係性がある、ということですね。
Q:静か過ぎて何をしているかわからないと言われることはありませんか。
う〜ん、不思議ですが、それはまずないですね。
何もしていないから何も起きない、ではないのです。だからこそ、必要な何かが起きるのですよ!逆説的ですけれどもね。やる側からすると、実は、これはとても勇気が要ります。介入せずにただひたすら辛抱強く相手の方の健全さに耳を傾けているのですから。
そこで重要になってくるのは『ブレス オブ ライフ』への確固とした信頼感です。 それがないと出来ないと思います。
Q:裏返すと、人間への信頼感ですね。
『人間の本質は健康だ』との信頼感です。
施術者側の信頼は大事です。また、受けられる方の信頼感もとても大切です。 顕在意識だけでなく、お互いの非意識的な深いレベルの信頼関係が成立して、初めて重要なことが起きてきます。 ですから、私自身、往々にして相手の方の『非意識』に試されている感じることがあります。「コイツに任せて大丈夫だろうか」とかね(笑)
Q:それぞれの目標値の設定は?
それはもう、いろいろです。その人がその時に何を望んでいるかで違いますね。でも、私に言わせて頂ければ、病気や不幸、トラブルは、その方に何か大切なことを気づかせようとして起きていることが非常に多いですから、腹を据えてその時に真剣に向き合うことをお勧めします。そうするとその後思わぬ展開が来たりしますので・・・。せっかくこんなにつらい体験をしたのだから、しっかり元を取ってやるぞ、くらいの気持ちでね。あくまでも、ご本人次第ですけれど。
■ 人生を変えた1冊の本との出会い
Q:このメソッドをはじめたキッカケを教えて下さい。
そもそも、私は20年近くサラリーマンをやっていました。当時からホリスティックな医療、具体的には漢方などに興味があり、本を読んだりはしていました。15〜6年前、母を癌で亡くした時、現在の医療のあり方について深く考えさせられました。その時大変お世話になった方との出会いもあり、自分の残りの人生は、何か、人の健康に役立つことをしたい!と思ってしまったのです(笑)。その後、サラリーマンを辞めてこの道に踏み込みました。辞める時『これからは自分が興味のあることしかやらない』という誓いをたてて。でも、当時は、クラニオセイクラルなんて全く知りませんでした。クラニオのクの字も知らなかったのです。ただ、その頃に読んだ本があるのです。
オステオパシー医、Dr.フルフォードが書いた『いのちの輝き』という本です。とても感銘を受けました。目からウロコとはこのことでした。そして、自分もこんなことが出来る様になれたら、と漠然と思ったのですが、今からアメリカの大学に入って学ぶのは無理だろうと諦めていました。
ところが、あるイベントでクラニオセイクラルの体験コーナーがあり、散々迷ったあげく受けてみると、何か「他とは違う」という直感がありました。しばらくして正式に受けに行ったら、そこに偶然この本があったのです。そこで初めて、Dr.フルフォードは、Dr.サザーランドの教え子だということも分かりました。これはもう、運命的なものを感じまして、トレーニングを受け始めました。
それ以外にも様々なことを勉強しました。そして、アロマセラピー、アーユルヴェーダ、フラワーエッセンスに出会い、クラニオセイクラルを含めたこの4つが、今、私が行っている仕事の柱になっています。ただ、幹となるのはクラニオセイクラルです。
Q:仕事の中で一番大切にしていることはなんでしょうか。
まず、信頼関係。そして『ブレス オブ ライフ』。この2つです。
Q:今後の目標は?
今後、自分が拡げていきたい分野は出生時の問題です。
あるオステオパシードクターの統計では、約80%の人間は何らかの形で出生時の問題を抱えていると言われています。バーストラウマ、お腹の中にいるときのトラウマ。これが、その後の人生に大きな影を投げている。実際、私が10年経験した中でも、バーストラウマの問題が浮上してくるケースがとても多い。いくつになってからでも、このバーストラウマを解放することは可能なのですが、もっと若い頃に対処をしたり、もしくはお腹の中にいる時や出生時にそうした事が起きなければ、その方が生得的に持っている可能性を十分に発揮して生きて行けるのです。ですから、妊婦さんのケアに取り組んで行けたら良いと思っていますし、今後は医療との関わりも視野に入れています。
Q:最後に、心と身体を一言で言うとどういうことでしょう
心と体はコインの裏表です。
今日はどうもありがとうございました。
●reviveより
医学に基づく発展をしてきたメソッドだったので、
かなり聞きごたえのある話となった。
『信頼関係』の問題は、現代医療において、
また、一般社会にも言える事ではないだろうか。
何より、私たちは自分をどれほど信頼し、自分に耳を傾けているだろうか。
キチンと自分と向き合う勇気は様々な問題を解決する糸口になるはずだ。
医学に基づく発展をしてきたメソッドだったので、
かなり聞きごたえのある話となった。
『信頼関係』の問題は、現代医療において、
また、一般社会にも言える事ではないだろうか。
何より、私たちは自分をどれほど信頼し、自分に耳を傾けているだろうか。
キチンと自分と向き合う勇気は様々な問題を解決する糸口になるはずだ。