胸板の厚いがっちり体格で、控えめなグレーのスーツの着こなしも悪くない。
ふちなしのシルバー眼鏡も過剰な主張が無く、知的な雰囲気を醸し出している…。
「好きな男性のタイプは?」と聞かれれば、「頭のいい人」と答えていた。
機転がきくだの、処世術に長けているというような頭の良さではなく、
実際に学校の成績が良くて、優秀な大学を卒業しているような人がいいわと思っていた。
だから、それなりの風貌の高学歴・高収入の見合い相手が現れたとき、「やったね!」と思った。
そして次の瞬間「あ、ダメ」となった。
偶然、オサムはチカコの小学校の時の同級生だった。
中学以降の社会の中での勢力地図は「学力」で決まるが、小学校までは事情が違う。
男女が一緒に体育の授業を受けるのだ。
当然、運動神経の発達した「体力」勝負の男の子がクラスのリーダーとして君臨した。
大人になると、そんなことも忘れる人が多いらしい。
小学校の時にデブのくせに虚弱体質、マザコンで泣き虫だった過去なんか、
高学歴で高収入の大人になってしまえば払拭できると思い込んでいる、そこの男子!
あたしゃ忘れないよ。
お尻に食い込んだパツパツの半ズボン。
運動会のリレーでバトンを渡し損ねて転んで、何週間も顔面打撲状態だったこと。
ドッヂボールを怖がって逃げまくったあげく、ぶざまに当てられて泣きべそかいてたこと。
プールに投げ込まれて、二掻きしては溺れかけ、神経質に顔の水を払っていたこと。
遠くの中学をお受験して去ったオサムのことは、12歳までしか知らない。
その後「学力」を武器にして下剋上したつもりだろうが、無理無理。
そんなオサムとの縁談なんか、チカコは絶対お断りなのだ。
「チカコさんは、元気で溌剌としていて、
ボクにはまぶしかったなあ。」…あこがれるなよっ!
「少女探偵団というのを作ってらして…。
僕は犯人役にされて、市中引き回しの刑だって、
縄跳びで両足縛られて校庭を引きずられたりしましたよね。」
…げっ、イジメ疑惑か?
あとは、ドロ沼の暴露合戦だった。
あれ以来、男性の見方が変わった。
小学生の時いけてたかどうか、そこがポイントだ。
人生に挽回はない。
過去を隠して、そこそこいけてるような大人のふりをしている男に騙されてはなりませんぞ。
どっこい遺伝子は受け継がれるのだから。
「マイ・ガール」1991年 アメリカ
出演:アンナ・クラムスキー マコーレー・カルキン
出演:アンナ・クラムスキー マコーレー・カルキン
●最終話:妄想は賢い女の娯楽道
●第二十七話:秘められた人生計画
●第二十六話:若いだけで素晴らしい
●第二十五話:堕ちてくオトコを助けない
●第二十四話:未来は思い出よりも美しい
●第二十三話:終着点を越えて
●第二十二話:品行方正の言い訳
●第二十一話:そういう人になりたい
●第十八話:愛を仕分ける年末
●第十七話:ステキな小学生を探せ!
●第十六話:初恋はエクスプレス
●第十五話:帰れない観光客
●第十四話:熟女も踊る
●第十三話:あと出しジャンケン
●第十二話:家電ヒストリー
●第十一話:ご長寿アニマルのたくらみ
●第十話:食べるならとことん
●第九話:異邦人は直訳で会話する
●第八話:こだわらない性格
●第七話:白黒つけたい!
●第六話:他力本願はソレだけ
●第五話:冬眠する蝶
●第四話:イタい女
●第三話:サバイバルのことではなく
●第二話:チョイ役の冒険者
●第一話:レモン・ロマン・やせガマン
Storyteller : 高倉アリス
高倉アリスさんへの
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●第二十七話:秘められた人生計画
●第二十六話:若いだけで素晴らしい
●第二十五話:堕ちてくオトコを助けない
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●第二十二話:品行方正の言い訳
●第二十一話:そういう人になりたい
●第十八話:愛を仕分ける年末
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●第十六話:初恋はエクスプレス
●第十五話:帰れない観光客
●第十四話:熟女も踊る
●第十三話:あと出しジャンケン
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●第十一話:ご長寿アニマルのたくらみ
●第十話:食べるならとことん
●第九話:異邦人は直訳で会話する
●第八話:こだわらない性格
●第七話:白黒つけたい!
●第六話:他力本願はソレだけ
●第五話:冬眠する蝶
●第四話:イタい女
●第三話:サバイバルのことではなく
●第二話:チョイ役の冒険者
●第一話:レモン・ロマン・やせガマン
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